……前編からの続き
FXこと外国為替証拠金取引で飲み代を稼ごうと
パソコンの画面に向き合い初めて1時間半を越えた。
利益は1,200円、飲み会1回分としては心許ない
せめて、3,000円は欲しいところだ。
ここは今持てる力を出し切って勝負に出るときではないかと感じた。
問題はドルを売るのか買うのか・・・
チャート凝視し、ここは買う事に決めた。
人間理屈で説明できないことがある、今がその時だと
根拠のない直感を信じて「ドル買い」の注文をする。

78.429円で30,000ドル買い
78.426円で30,000ドル買い
78.416円で30,000ドル買い
78.403円で10,000ドル買い
78.376円で10,000ドル買い
気がついたら30分の間に110,000ドルを買っていた。
■2011/7/25 15:38 利益1,200円:110,000ドル買い
チャートグラフを見つめて過ぎる。
円高がどんどん進み、マイナスの付いた数字も増えていく
もう、ヒレカツも生ビールも霧の奥深くに消えていった。
マイナスの数字はかさんでいく一方だ。
売るに売れず、買うにも資金が無く
何もできずに、マイナスの数字だけが増えていく時間
もう、頭の中ではヒレカツ定食で我慢しておけばよかった・・・
という言葉が繰り返されている。
後悔先に立たず、昔の人の言葉に体中を突き刺されながら
110,000ドルを抱えて夜眠りにつく。
経済ニュースではアメリカ大統領が
明日、進む円高についてコメントを発表するようだ。
そのコメント次第ではヒレカツも生ビールも
霧の中から顔を出すかもしれない・・・
次の日の朝、経済ニュースを流しながら
チャートグラフを見つめるアメリカ大統領のコメントが発表されるが
大きなインパクトもなくドル為替市場も反応無し
えーなんで?アメリカ大統領の談話だよ、無反応なの??という気持ちも虚しく
円高が進み77円台まで来てしまった。
担保が足りなくなると追加で追い証という資金追加か
損していてもロスカットといって全てのドルを強制的に売られてしまう。
結局この26日はチャートグラフを眺め
売ることもできず、また買い足す資金もなく時間が過ぎていく。
まだギリギリで資金は足りていたので、ロスカットや追い証を入れずにすんだが
嫁には内緒のこの取引、ジリジリとした焦燥感が身体を覆う時間経っていく。
それでも、明日は円安に転じるという信念はあった。
ただ根拠はないので祈りに近いものだ……。
27日の朝5時携帯電話のメールで目が覚める。
メールの題名は「【重要】追加証拠金発生のお知らせ」
ついにこのときがやってきた!寝ている間に円高が進んでいた。
かい摘むと「追加証拠金を24713円を今日中に入金なさい」とのことだ。
「入金しないとロスカットしちゃうよ」
止めておけば良かった、ハイリスクがやってきた。
気持ちがなんとも不安定になり、顔で泣いて心で泣くという、どうにもならない状況になってしまった。
FXを始めたことを嫁に話していない。起こさないように布団を出て、ネットバンキングで振り込みをし、事なきを得て布団に戻って寝る、きっと寝て起きたら円安パラダイスだと信じて寝る。
いつもの時間に起きて嫁を送り出してチャートを見る。
円高のまま、どうにもならないままだ。
11時にメールが届く「入金確認したよ、ロスカットしないよー」と
とりあえず何とかなったようだ。
あとは円安が進むだけで何とかなる……。
結局その日も何ともならずに終了110,000ドルも持ったまま日が暮れた。
その日どころか28日も何ともならないままだった。
29日ついに次の出国のために現金が必要になってしまった。
ギリギリまで待った22時に80,000ドルを売りに出した。
77.081円で30,000ドル売り
77.082円で30,000ドル売り
77.080円で10,000ドル売り
77.075円で10,000ドル売り
全部で106,610円のマイナスになり
もうヒレカツも生ビールも闇の中、影も形もなくなってしまった
■2011/7/29 22:39 利益 -105,410円:30,000ドル買い
そこから6日後の8/4に円安が進み78.870円で
30,000ドルを売りに出す。13,230円のプラス
これだけ見れば、飲み代3回分だが、全取引で92,180円のマイナス
これでもうFXは手仕舞いだ。
やっぱりFXはハイリスク・ハイリターン
ちゃんと外国為替を理解すれば投資になるのだろうが、付け焼刃では単なる博打になってしまう。
ちゃんと勉強しても再度FXに挑戦するかというと
やるかもしれないし、やらないかもしれない